第47章 ※前途多難
杏「桜、きちんと君の元へ帰ったぞ。」
そう小さな声で伝えて細い手首に華を咲かせると隊服を脱ぎ、体を清めてから桜の隣に横になって抱き締めようと腕を回す。
しかし 招かれざる客の足音を聞くと杏寿郎は眉を顰めて敢えて腕を引っ込めた。
英(もう寝ているな。)
襖越しに桜の穏やかな寝息を聞くと英照はスーッと襖を開け、静かに中へ入って来た。
杏寿郎は桜がきちんと目を覚まして練習した通りに抵抗出来るのかが気になり、黙って観察することに決めたのだ。
しかし桜は目を覚ますどころかころんと仰向けになるとふくよかな胸を穏やかな呼吸にあわせて強調させ、襲ってくれと言わんばかりの無防備な格好と表情を見せてしまった。
丁度月明かりで照らされた桜の横に居る杏寿郎の姿は暗闇に紛れ英照の目には映らない。
英照は桜の姿を見て興奮から速くなる呼吸を抑えながらとうとうパシッと桜の口を手で塞いだ。
すると流石に目を覚した桜は混乱しながらも咄嗟に手を退かそうとしたが、逆光でも相手が男だと判ると恐怖から途端に力が入らなくなってしまう。
桜が怯えから涙を滲ませ小さく震えだすと更に昂ぶった英照は生唾を飲み込んでから笑顔を浮かべ、荒々しく桜の浴衣を脱がそうとした。
しかし、既の所でその手を杏寿郎が掴む。