第47章 ※前途多難
部屋に一人とは言え、無一郎が隣室を選んでくれたので桜には全く不安が無かった。
事実、無一郎は英照に対して少しも警戒を解いていなかった為 壁にもたれるようにして目を閉じ 熟睡していなかった。
しかし、この後無一郎は安心して布団に入ることになる。
―――
杏寿郎はなんとか鬼を見つけ出して首を斬ると白石を頼りに桜の居場所を探した。
杏(大丈夫だとは思うが…。)
そうして闇夜を駆け、とうとう桜達が眠る藤の花の家へ着いたのだ。
幸は外が見える部屋で夜の間ずっと起きているのか、門の前に杏寿郎が立つとすぐ迎えに出て来た。
幸「鬼狩り様ですね。申し訳ありませんが部屋数が足りず相部屋となってしま、」
杏「構わない。煉獄という姓の俺の妻が居たろう。同じ部屋に通してくれ。」
幸「妻…一ノ瀬様でしょうか…?」
幸は少し困った顔をしたが、杏寿郎が桜の指輪と対になっていると思われる指輪を嵌めている事と笑みを消した事に気が付くと口を噤んだ。
杏「桜は煉獄ではなく一ノ瀬と名乗ったのか。だが俺は確かに彼女の夫でいつも同じ布団で寝ている。彼女の反応を見に付いてきてもらっても構わない。」
幸「い、いえ、指輪を見ましたので十分です。ご案内致します。」
杏「夜中に手を焼かせてすまない。感謝する。」
杏寿郎は案内された部屋に入ると穏やかな寝息を聞いて漸く肩の力を抜いた。