第46章 新しい任務同行者
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無「あっちか。」
無一郎も鬼の気配に気が付くと街の反対側を目指して走り始める。
無(怪我なら平気だろうけどあの人達が一人でも死んだら桜は泣きそう。元から人数が少なかったって言えば大丈夫かな。)
そんな不穏な事を思いながらも無一郎はすぐに鬼の場所まで駆け付けたが、その時 既におびただしい量の血が流れてしまっていた。
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摂津と安達が鬼の気配を感じて走り出した時、後の二人は致命的な遅れを取ってしまっていた。
そして影を伝って移動出来る鬼の動きは明かりの届かない街の手前までなら目にも止まらぬ程速く、焦った摂津は後ろの二人に注意を割けないままつられるように街まで走ってしまった。
しかし血鬼術の特性上、鬼は街の中では明かりを避けて陰を探しながら移動する必要があり、最初から『ゆっくりと街の人間を捕食するのに邪魔な鬼狩りを先に殺してしまおう。』と思って動いていたのだ。
その結果、自分達が獲物になっている事に気が付けなかった隊士達は鬼の思惑通り見事に分断され、まだ光が届かない場所を走っていた濱岡と佐伯は足元へあっという間に戻ってきた鬼に文字通り足を奪われてしまったのだ。