第46章 新しい任務同行者
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安「あの言い方はさすがにあっちが悪いんじゃないんですか。」
摂「よせ、隊員同士でいがみ合う時間はない。彼が言った "余計なこと" が何かも分かっていない状態であちらが悪いと決め付けるのは、」
安「摂津さんは人が良すぎますよ。」
その言葉に濱岡と佐伯も思わず頷く。
それを見て摂津は溜息をつくと皆に暗くなり切る前に軽く夕餉を取るように告げた。
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(無一郎くん、ちゃんと隊士さんと仲良くやれてるかなあ。私が見る限りじゃぽーっとはしてるものの可愛い子って印象なんだけど…杏寿郎くんが言ってたことが気になるな…。)
そう心配しながら今は無力である桜もまた幸が運んできた夕餉を食べていた。
(いつでも治せるように暗くなる前に食べなきゃ。…それにしても美味しいなあ…千寿郎くんと炭治郎くんのご飯には負けるけど…。)
そうして蕩けた顔をしながら食事を取っていると襖が少しだけ開く。
人の姿に戻っていた桜はその気配に気が付けない。
その隙間から中を盗み見ていた者の正体はこの家の実質の主、笠野 英照(ひでてる)だった。
笠野一家はまだ英照が物心つく前に鬼に襲われ、父は鬼殺隊が来る前に妻と息子を庇って他界した。
血を流しながらも助けてくれた鬼殺隊士の事を覚えている幸とは違って、『鬼殺隊は結局父を助けられなかった』と捉えていた英照は自身が笠野家の当主となった今、未だに藤の花の家紋を背負っている事を良く思っていなかったのだ。