第9章 鍛錬
「ちょ、ちょっとお手洗い…厠に行ってきます…」
桜はそう言うと、ヘロヘロとした足取りで屋敷へ向かった。
(だめだ…お水飲みたくて仕方なくなっちゃった…。)
そう思いながら千寿郎が用意してくれていた布巾で足を拭き、屋敷へ上がる。
一方、
杏「なんで桜は今言い直したのだ?それに一人では戸を開けられないだろう。」
そう言いながら杏寿郎は首を傾げて歩き出す。
千「厠…。」
―――『桜が厠でちゃんと用を…』
―――『もう黙って!』
さっきの騒動を連想した千寿郎は悪い予感がして杏寿郎を呼び止めた。
千「ぼ、僕が見てきます!もう少ししたら買い物に出掛けますので、兄上は希望の献立を考えておいてください!」
杏「さつまいもご飯を希望するッ!!!!」
杏寿郎は即答して足を止めない。
それを見て千寿郎はぎゅっと拳を握ると大きな声を出した。
千「そっ…そちらに座って熟考してて下さい!!お茶も淹れてきますからっ!!!」