第46章 新しい任務同行者
杏「桜…ぱっと見ただけでも妙に綺麗な刀傷の者が五人居た。今傷を治した彼もそうだ。だがその様に刀を使う鬼など聞いたことがないぞ。」
「……………どういう事ですか、野方さん。」
桜が悲しそうな目を向けると野方は慌てる。
「皆さんの中にも……鬼と戦って傷付いたわけじゃない方がいらっしゃるのですか…?」
その問い掛けには誰も応えず、部屋は静まり返った。
すると柔らかくも棘のある声がその空気を引き裂く。
し「あら?皆さん私に確認を取られていますよね。毎度注意をしている筈ですが…こんな状況でも桜さんの前ではだんまりを決め込むつもりなのでしょうか。」
額に青筋を浮かべたしのぶの笑顔を見ると部屋中の者が床に下りて杏寿郎としのぶへ向かってまるで命乞いをするかの様に頭を下げ始めた。
「………………信じてたのに。」
騒然となった部屋の中で静かな筈の桜の声が響いた。
その言葉と共に部屋は静まり返る。