第45章 ※心配性と解決法
杏寿郎は謝りながら大人しく桶と手拭いを渡すと背を向けて体を拭く桜の側に座り、興味を引くように髪を弄る。
「なるべく早く終わらせるから待っててね。」
桜が少し面白がる様な声でそう言うと子供扱いされた杏寿郎は不満そうな声を上げた。
(………あれ…?)
「杏寿郎くん、髪結ってくれてるの?」
杏「うむ。三つ編みだ。甘露寺を継子にしていた時に教えて貰いながら千寿郎の髪を結ったことがある。長さが足りなくて出来ているのかはっきりとは分からなかったが…。」
「へええ…。杏寿郎くんに三つ編み結ってもらえるなんてうれしいなあ。」
杏「あまり期待しないでくれ。細かな作業については得意と言い難い。」
「ううん、結ってくれてるだけでうれしいの。」
杏「そうか。」
杏寿郎は一つ結い終わった後 自身の髪を結っていた紐を解き、それで二つ目を結った。
「ふふ、おさげだ。杏寿郎くん上手だよ。ありがとう。」
体を清め終わり襦袢に身を包んだ桜が振り返って微笑むと杏寿郎は笑顔のまま固まる。