第45章 ※心配性と解決法
(口調と呼び方を変えただけでこんなに距離感が変わるんだ。……杏寿郎くん、か。 "ルール" があったから同年代の男の子をこんな風に呼んだの初めて……。)
杏「桜?」
「わ…びっくりした。ちょっと考え事をしてたの。替えてきてくれてありがとう。」
杏「俺の希望で中に出してこうなったんだ。手伝うのは当然だろう。見せてくれ。」
「……い、いいよ。一人でできるからあっち向いてて。」
そう言いながら杏寿郎が持っていた手拭いを取ろうとするも杏寿郎がそれを遠ざけた為 桜の腕は空振る。
杏寿郎は桜の動揺して困る顔を見てとても嬉しそうな笑みを浮かべていた。
「………………杏寿郎くん。」
嬉しそうな杏寿郎の様子を見た桜の声は少し低くなり、あと少しで説教を始めそうな色を孕んでいた。
杏「意地の悪い事をしてすまない。だがやはり君の困った顔がどうしようも無く好きだ。その顔が変わらないままである事が嬉しかった。」
「………もう。」
桜は少し呆れた様な声を出したがその顔には柔らかい表情を浮かんでいた。