第45章 ※心配性と解決法
―――
「水っぽくなってきたね。前に注いだのも出してくれてるよ。」
杏「ああ、最後の方はいつもこの様な物が出る。…口調を変えたらあまり恥ずかしがらなくなったな。」
その言葉に膝を抱えて座っている桜は少し考える様な表情を浮かべる。
「恥ずかしい気持ちは残ってると思うけど、基本的には元々がこうだったよ。あんまり動じる方じゃなかったし、泣いたこともほとんどない。今まで男の人にどきどきした事がなかったから緊張していっぱいいっぱいになってたんだと思う。」
杏「……今はしていないのか。」
少し元気を失くした声に桜は目を大きくさせた後 ふわっと微笑んだ。
「どきどきはしてるよ。でも緊張はほぐれたかな。愛おしい気持ちでいっぱい。確かめる?」
そう言って杏寿郎の手を握ると桜は悪戯っぽい笑みを浮かべる。
それは年下の者を少し揶揄うものに似た笑顔であり、慣れない杏寿郎は小さく体を揺らすと声を出せずに固まった。
一方、そうなる事をなんとなく予想していた桜は構わず大きな手を自身の胸の中心に当てさせる。
動揺していた杏寿郎はその速い脈を感じると我に返り、愛おしそうに自身を見つめている桜を見つめ返した。
杏「……本当だな。」
そう言いながら杏寿郎もまた桜に愛おしそうな表情を浮かべた顔を向けた。