第44章 ※ずるい人
杏「すまない。また怖がらせたか。君の様子が気になって見ていた。」
「……びっくりしただけです。」
杏寿郎はその言葉に安心した様に表情を柔らかくさせると再び桜の頬をスリッと優しく撫でた。
杏「そうか…。それは良かった。安心して眠ると良い。」
そう言うと杏寿郎は桜の背をぽんぽんと寝つかせる様に優しく叩きながら目を閉じる。
(……………………。)
杏寿郎に感情を振り回されていた桜はその切り替えの速さに複雑そうな顔をして目を伏せた。
(………寝ちゃうんだ…。)
何気無く心の中でそう呟くと当初の目的を思い出した桜は頭をふるふると振って再び杏寿郎の胸に顔を埋める。
そして知らず知らずのうちに期待してしまっていた体に眉を寄せながらぶるっと身震いをした。