第43章 弱いこころ
杏「………確かにそうだな!すまなかった!!」
そう言うと謝る様に優しく頬を撫でる。
すると身震いをしてから桜はパッと俯き、目をぎゅっと閉じたまま体をビクビクッと震わせた。
止めていた息を吐いて荒く息を繰り返していると杏寿郎に顔を上げさせられる。
桜は頭が回らずにいた為それに反応することが出来なかった。
杏「随分達しやすいな。期待していたのか?」
否定する様に出来る限り顔を背けると、桜は自身の熱を沈めようと深くゆっくりと息を繰り返す。
杏寿郎は顔の向きを正そうとはせず、ただしっかりと桜を抱き締めた。
しかし、抱き締めるだけでもはっきりと分かってしまうソレは桜の余裕を欠くのに十分であり、そして杏寿郎は抱き締める腕を一切緩めようとしなかった。
杏「ねだらなくて良いのか。今は余裕があるので昨晩の様に上になって好きに動いても良いぞ。それとも虐められる方が好ましいだろうか。」
まだ恥ずかしがりな普段の性格が残っていた為 桜は急いで首を横に振る。
その頑なな様子に杏寿郎は眉尻を下げた。
杏「君に頼って良いのではないのか?君を愛すと心が満たされる。妻なら戦いで削れた旦那の心を満たしてくれ。」
その言葉に桜は目を見開く。
(ず、ずるすぎる……。)