第43章 弱いこころ
杏「…そうだな。例を挙げるなら先程言った柱の報告の時だ。確かに負の感情の気配は感じた。千寿郎も居たのですぐに切り替えたがな。」
「ふむ…。」
(虚しい…落胆………とかなのかな…。)
「丁度それについては良い解消方法があります。都合がつく日に槇寿郎さんと三人でお酒飲みましょう!」
(槇寿郎さんの本当の気持ちを伝えられるチャンスだ…!)
杏寿郎は優しく、そして少し嬉しそうに微笑む桜を暫く不思議そうに見つめた後 自身も柔らかく微笑んで頷いた。
―――
就寝の挨拶をして布団に入って少し経つと杏寿郎が桜を抱く腕に力を込めて誘う様に頬擦りをした。
「今日はもう、」
杏「優しくする。」
遮る様に言葉を重ねられて桜は少し眉を寄せる。
そして杏寿郎を見上げると困った様な目を向けた。
「今日は体を休めないとだめです。」
杏「元気だぞ。知っているだろう。」
「………本当はケガや病気じゃないときはこの力を使わないって決めてたんですよ。」
桜は少し怒った様な声を出すと杏寿郎の腕の中でもぞもぞと動き、杏寿郎に背を向けた。