第4章 冬 合否発表
受験番号……
「あった」
高校にして初めてのお受験だった私は合格者表に自分の番号があることを確認して一息つく
私は今年、埼玉県立の西浦高校を受験していた。まあ難しい学校じゃない、普通の学校だ
理由は家が近いから、チャリで2,3分のところにある。中学はお母さんと一緒に住んでたけど高校に上がってお母さんが腰を悪くしてしまい、それがきっかけでおじいちゃんの家に来ることになったのだ
元々そんな離れたところに住んでいたわけじゃなく、幼馴染も西浦に通うと言ってたし環境は変わったけどあんまり緊張はしていなかったりする
お母さんの心配として、あんまりにも学校に近すぎるとウチにたむろされるんじゃないかってのがあったけど、あんまり心配するようなことも出ないと思う
私はもともと友達とか多い方ではなかったし、高校でもそんなに友達はできない…と思う、たぶん。
一安心して帰ろうとマフラーを首にかけ直したところで、校門近くでもう帰ろうとしている幼馴染を見つけた
「あ、花井~」
声をかけると彼はキョロキョロと見渡したあとこちらを見てから、いかにも嫌そうな顔をして早足で校門を抜けていく
「おいおい、シカトかい」
少し大きな声を上げてしまったのか視線がこちらに向く、眉を寄せて花井を追いかけた