第3章 T.02
「はあぁ~…」
部屋に入ってから、一番に目に入ったベッドにどさっと乗っかった。
案内された部屋は(当たり前だけど)洋風で、ベッドとかクローゼットとかいくつかの家具が揃えてあった。
興味本意で色々いじってみたりして、なんとなく窓に目をやると家の前にある庭が見えた。
月明かりに照らされ、昼間見たものとはまた違った美しさがあった。
あ、あそこ私が落ちてきたとこだ。
そもそもどうしてトリップしてきちゃったんだろう?しかもこれ、トリップしてるのかな?もしかしたら、すっげえリアルな夢かもしんないし。
トリップしてきたとしても、何でだろう。私にはそんな特別な力はないし…うーん。
ダメだ。非現実過ぎる。
いくらファンタジーなものに馴染みがあった私でも追いつけない。
頭がぐるぐるとして、気持ちまでネガティブになりそうだったのでここはもう、寝てしまうことにした!
もしかしたら、寝て起きたら元の世界にいるかもしれない。
そう信じて瞼を閉じるしかなかった。
これで元の世界に戻れたら
いいな。
ーよし、じゃあ明日買いに行くかー
…明日、か。
……戻れてしまったら、残念とか、少し悲しいとか
そんなわがままなことは思っていない。
そう、わがままになってはダメだ。
人に迷惑をかけたら、失礼なことをしたらダメ。
そうやって生きてきたでしょ。