第3章 T.02
「は?ダーク…?なんだって?」
「…いや、何でもないよ、うん。…ところで、これはなんですか……?」
つい口から出てしまった言葉はなかったことにする。危ない…。
私はもっと早くに気づくべきであった。こんなことにならないうちに…!
あの怪我の治療をしてくれた部屋で、イギリスとこっちの世界の話とか少し聞いていたあと、イギリスは言った。
『それじゃあ、俺、夕飯の準備してくるから。お前はそこで大人しくしてろよ!変なことすんじゃねぇぞ!』
夕飯。その言葉に気づいた時にはもう、イギリスは部屋から出て行った後だった。追いかけるにも、足のせいでそんな速く移動できないし、キッチンの場所も分からない。
ああああああああ!!!しまったああああああ!!夕飯って………、夕飯て……!!イギリスが作るんだよね………!?そうだよね…?
わ、私……生きて帰れるのか…!?
あのイラストたちのような暗黒物質が出てくるのか?炭か?ダークマターか?
イギリスを呼び止めなかったことを酷く後悔した。これ程にないってほど後悔した。この世界に来てから初めて強くもとの世界に戻りたいと思った
。
そして今。
私の目の前に暗黒物質と、炭とダークマターがある。全種類コンプリートである。
これは……詰んだ。