第70章 所有者
次の日になって、何だか腹のあたりが暖かいと思うと、おはぎが俺の上に乗って寝ていた。
起き上がると、おはぎも起きた。
「にゃあ」
寝ぼけているのか俺に擦り寄ってきた。
『えええー!!何二人だけで可愛いことしてるの!?私もまーぜーてー!!』
が飛びついてきそうだ。朝から元気なのがうざったくて嫌な時もあったが、今となってはひたすらに恋しい。
(…顔洗わねえと。)
俺はおはぎを抱き上げて立ち上がった。
おはぎが自由に行き来できるようにドアを開けていたから勝手に入ってきたらしい。それにしても珍しいことだった。
冷水で顔を洗い、パンを焼いてそれをかじる。おはぎは昨日ちゃんと餌を食べたみたいで、皿は空になっていた。
「にゃああにゃあああうーー!」
おはぎがやたらと唸るので、虫か何かがいたのかと思えば俺の鞄に向かってだった。それをぼんやりと見ていると、ジッパーを閉めていなかった鞄に頭を突っ込んでガサガサしだした。
「にゃああ!!!」
そして取り出したのは、あの霞守がくれた包装紙に包まれたお守りだった。
「おいこら、そりゃダメだ。」
慌ててトーストを飲み込んでおはぎからお守りを奪った。
「にゃあ!!!にゃあーーー!!!」
「おい、何だよ、他の人の匂いがすんのが気に食わねえのかァ?」
おはぎが必死にそれを奪おうとするので、慌てて鞄にしまって口を閉めた。
「うー!!ううう!!!」
「ああ、よしよし。大丈夫だ大丈夫だァ。」
俺が抱き上げて落ち着くまで声をかけてやると、すっと大人しくなった。
そこでようやくホッと一息ついて、目もほどよく覚めたのですぐに病院へ向かった。