第58章 大正“浪漫”ー拾ー
「まあド派手にムカついてるけどな」
宇髄くんは顔をしかめて言う。
「なれど、鬼は斬っていたのだろう!?郊外の地にて鬼の被害が著しく減少したと聞いた!!」
煉獄くんが言う。相変わらず元気だ。
「それに引き換え霧雨さんの担当地区、鬼なんかほぼほぼいなかったぜ。あんたんとこは平和だよな。」
「霧雨さんが毎晩見廻りに精を出しているからな!!」
私はそう言われて少しむず痒くなった。
「どうやら…成果はあったようだな。」
「……郊外とはいえ、このまま警備が手薄なのはまずいかもしれません。少しお館様に相談しようかと。」
「そうか。会いたい人には会えたか?」
行冥まで入ってくる。気づけば皆集まっていた。
「ええ。お会いできました。」
私は話した。
「………思ったよりお元気そうで安心しました。」
「会いたい人?んだよ、そんな奴いたのかよ?」
「勘違いも甚だしいですよ。」
宇髄くんを睨む。
「それより霧雨さん、この後蝶屋敷へいらしていただけますか?」
「しのぶ…何でです?」
「怪我をなさっているようですから、治療をしなければなりません。」
そう言われ、私は右肩をおさえた。…まあバレるか。
「いや、少し後に行きます。」
「何かあるのですか?」
「ええ、何かあるのです。」
私はにこりと笑った。
「処罰を受けに行って参ります。」
一週間ぶりの屋敷に戻った。まるで新築のように綺麗に戻っていた。私は中に入った。
中もきちんと元通りで、仲間たちの遺品も元の場所にしまわれていた。
畳の上に新しい布団と隊服が置かれていた。
私は久しぶりの我が家に一息つき、その隊服に袖を通した。