第33章 風邪
目を覚ました。
明るいうちに帰ってきて…眠ったのがまだ五時とかだっけ。今何時だろう。
(…八時か。)
お腹が空く時間かと思ったけれど、全く空いていないし頭はガンガンするし。
私ってこんなに体力なかったの?よく鬼殺隊なんてやってたな。
ああ、なんか喉かわいちゃった。実弥…この時間ならまだ起きてるか。晩ごはん悪いことしたなあ…。
ソファベッドから下りて歩いていると、何だかふらついた。
あら?私、マジで体力なさすぎじゃない?
それでもリビングに行く。ソファで実弥がおはぎと座ってテレビを見ていたのが見えた。
「おお、起きて……」
そしてくるりと振り向いた。
「ご飯ごめんねー、実弥。何かめちゃくちゃ体力なくなったみたい~。何か喉かわいてさぁ、んー…お茶どこだ?」
冷蔵庫を覗いると、実弥がドタドタとキッチンにやってきた。
「おい、お前顔赤いぞ!」
「バカねぇ…人類はほんのりほっぺが赤いのよ」
「いや…とりあえず!座れ!!」
実弥が強く言うのでソファに座った。実弥が未開封のペットボトルのお茶を置いた。
「飲む前にはかれ。」
「は?体温計?私どこも悪くな…」
「いいからはかれ!!」
「…なんで怒ってるの」
私はしぶしぶそれで熱をはかった。そんなに時間がかからないうちに、ピピっとなった。
「……37度5分…」
「はあ…やっぱ熱あんじゃねえか」
「……まあでも、そんなに高くないし…」
「アホ。飲んでもう一回寝ろ。明日の朝はもう起こさねえからたっぷりとな。いいな。」
実弥が念を押して言う。
「わかった。じゃあ一切近づかないでね。」
「……は?」
「あったりまえでしょ!実弥は先生なの、うつったら大変じゃない。」
すると、実弥からとてつもないショックを受けましたと言わんばかりの絶望感がひしひしと伝わってきた。
「明日、熱下がらなかったら春風さんに頼んで病院連れていってもらう!そんでそのまま春風さんの家か実家に行くから!」
「い、いや、病院は俺が…」
「だから、うつしたくないんだって。」
実弥はぐるぐると色んなことを考えたようだが、たっぷりと時間を置いてから同意した。