第7章 空白と決意
「待って!!」
目を開けると、宙に伸ばした手は誰かに握られていた。
何か夢を見ていたような気がする。
「……気分はどうだ?」
その恐ろしい目つきに体は跳ね、声が自然と小さくなる。
「……誰?」
「……。うなされていたが平気か?」
恐る恐る頷くと、少しその人の頬が緩んだ気がした。
自分の状況を思い出し、部屋を見回す。知らない部屋のベッド。
なぜ自分がそこにいるのかわからないが、どうでもいいように思えた。
「…アイツなら会議だ。安心しろ、アイツが戻れば俺はすぐにここから出る。」
私が人を探していると思ったのだろうか。
この人が何を言っているのかわからないが、なぜか彼を見ていると落ち着いている自分がいた。
「……名前。」
「あ?」
「あなたの名前を教えてください。」
恥ずかしそうに微笑むリア。
リヴァイはふと初めてリアと会った時を思い出していた。
おとなしい見た目とは裏腹にはきはきと話し、同情されることを変に嫌っていた。
リアを何がそうさせたかはわからないが、今目の前にいる人間と同一とは思えない変わりようが、余計にリヴァイの心を締め付けた。
「…リヴァイだ。」
どうせ明日には忘れてしまうとわかっていながら、まだ期待して名乗る自分は愚かだろうか。