• テキストサイズ

確かなコト【進撃の巨人】

第7章 空白と決意






少女は閉じていた瞼を開く。



大きな木に背中をあずけ、草花の茂る根元へ座っていた。

1人ではない。隣には顔を真っ黒に塗りつぶされた誰か。

どんなに顔を覗き込もうとも、あと少しのところで顔が見えず、なんとも言えないじれったさがある。


あぁ、またこの夢だ。


少女は頭では理解していたものの、夢独特の体の重さを感じていた。


この人は誰だろう。
夢の自分はいつも楽しそうなのに、その人はどこか淋しそうに笑う。


ーねぇ、あなたは誰?ー

声にならない声で呼ぶ。


すると誰かさんは、ゆっくりと立ち上がるとそこから離れて行く。


口をどんなに動かしても、パクパクと空気を含むだけ。





ねえ!




いやだ!



待って!




教えてほしいの。

必死になって立ち上がり、走って追いかけるのに全く前には進まず追いつけない。




「お願い待って!どうしていつも悲しそうなの?あなたは誰?顔を見せてよ!」

ようやく出た声は誰かさんに届いたようで、〝彼〟はゆっくりと振り返り笑った。



ー……こう。……く。…る。…ー




手を伸ばしても届かない。

彼がまた前を向いて歩き出すと同時に少女が座る足場は崩れ落ち、先程まで動いていた足はまた石になった。

そして〝リア〟は暗闇に落ちていった。
/ 94ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp