第2章 プロローグ
入学から日も浅い4月某日
ここ1年筍組では、4時間目の終わりを告げる鐘が鳴ると同時に生徒達が席を立ち昼食へと向かう。
「舞、中庭で炭治郎と伊之助が待ってるぜ」
「うん、今行く」
モテたいという願望を前世から持つ彼我妻善逸は、舞の幼馴染みであり友達だった。
根は真面目で優しい彼なのに、どうしてモテないのか不思議なものだ。
「今日善逸の分もお弁当作っちゃった」
「マジ!?よっしゃっ!!早く行こう!!」
弁当箱を包んだ巾着を二つ持ち廊下に出れば、そこにはお昼休み特有の和気藹々とした空気が広がっていた。
部活動勧誘のため1年生を視察する者。
大人数で集まり談笑する者。
友達を呼び出し出歩く者。
「ほんっと!!この学園カップル多いよなぁ!いい気なもんだよ」
「えー?いいじゃん青春って感じ」
人混みの中を掻き分け廊下を進む。
どうにも人が多いのは、入学してから間もない事や、2年生や3年生が訪れているという事が一因なのだろう。
気をつけて歩いているつもりなのだが、如何せん肩が当たってしまう
「あっ、ごめんなさい」
「む!すまない!ぶつかってしま……」
肩を当ててしまった彼に謝罪をするが、彼は途中まで言葉を進めた後口を吃らせて驚いたように目を見開いた。
「あの、大丈夫ですか?」