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追憶【レイトン教授】

第10章 【魔人の笛】第六章――神に選ばれし男――







服についた土やホコリなどを払いながら、怖かったと何度もつぶやく。
そんな彼女の姿を見て、男性のような立ち振る舞いはしていても中身はやはり女性なんだなと、今さらなことを想うルークだった。

図書館に向かいながら、ルークはトライトンのことについてレイトンに聞いていた。

クラーク・トライトンはとてもまじめな学生だった。
几帳面で研究熱心でレイトンの恩師であるシュレーダー博士も彼の優秀ぶりに期待をしていたほどだった。
研究に熱中し、レイトンと二人徹夜することも多かったと言う。
また、正義感も人一倍強く、家族や友人を大切にしていた。

「自分の場合、クラークさんには勉強を教えてもらっていたし、いろいろ助けてももらったし優しい人だよ、とても」

しかしルークは顔を暗くしうつむく。
彼らの話を聞いても今現在のトライトンの様子は真逆だ。
それが魔人に操られているということをさらに増長させた。

「真実かどうかは調査を進めればわかることだ。真実を自分の目で確かめてごらん」

疑ってばかりいてもなにも始まらない。
レイトンの言葉にルークは小さくうなづいた。

図書館に着いたが、レミはまだいないようだ。
受付の女性に新聞コーナーのある場所を訪ね、そこへと向かう。
入り口から少し離れた窓際に新聞コーナーはあった。

「古いものはしまってあるから必要になったら出しますよ」
「アランバード氏の事件を報じている日の新聞が見たいのです」

レイトンの言葉に女性は少し眉を寄せたが、しばらく待ってると新聞を手に戻ってきた。
それを受け取り3人はテーブル席へと向かい、新聞を広げる。
しかし、新聞にはアランバード氏の事件について具体的なことは書かれていなかった。
引っかかりを覚えるレイトンと。
と、その時レミがスコットランドヤードから戻ってきた。
言われていた資料をレイトンに渡す。

「お疲れ様、レミ」
「いえ、このくらい平気です。あ、そういえばちょっとしたお土産が……」

首をかしげるの前にものすごいスピードである人物が現れた。
グロスキー警部だった。
どうやらレミについて来たらしい。
室内だと言うのに砂ぼこりが舞っているんじゃないかと錯覚しそうになる。








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