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追憶【レイトン教授】

第10章 【魔人の笛】第六章――神に選ばれし男――








大きなため息を吐く彼は、近くの簡易ベンチに腰を下ろした。

「気になるなら現場を見たらいい。この奥だ」
「ありがとうございます」

お礼を言って、奥へと進むレイトンたち。
発掘現場にはいろんな残骸が散らばっていた。
シャベルや使用済みの火薬のゴミなど。
それを拾いながら、発掘していた場所を眺めた。

「どうやらナディンさんの言う通り、発掘の成果はなかったようだね」
「えっ、どうしてそんなことがわかるんですか?」
「地層を見ればわかるんだよ。こういう地質学的なことは、私よりもクラークの方が詳しいんだけどね」
「自分は正直さっぱりです」

胸を張って言い切る。
観察眼に優れてるとはいえ、地質学は彼女の苦手な分野。
トライトンに教わっていた時期もあったらしいが、あまり成果は得られなかった。

トライトンの専門分野は古生物学。
特に、地層に含まれた生物の判別には長けているとレイトンから聞かされたルークは、大きな目をさらに大きくした。
どうやらトライトンからその話は聞かされていなかったようだ。

町長の仕事が忙しくルークと話をするどころかかまってもくれなくなったと言う。

「昔はあんなに優しかったのに、今はまるで別人みたいに、怒鳴ったりするんです。きっと母さんは旅行に出たんじゃなくて、父さんが嫌になってボクを置いて出て行ったんだ……」

何度も父さんは魔人に操られていると主張するルーク。
その瞳にはうっすらと涙が溜まっている。
トライトンが変わったのは町長になってからだと言う。
魔人の正体を突き止めれば、全てのナゾあ解明される。

「……まだ早いですが、図書館に戻りましょう。もしかしたらレミが戻ってるかもしれませんし」
「そうだね、一度図書館に行こうか」

そう言って歩き始めた瞬間。
は何かにつまずいた。

地面に倒れると同時に発掘現場の穴から爆発が起こった。
爆風と飛んでくる岩の破片。
あまりのことに三人とも口を開けて呆然としてしまった。

「ななななな、何してるんですかさん!!」
「ち、ちが……。これに躓いただけで……」
「どうやら爆弾のスイッチだったみたいだね」
「いやいや、おかしいでしょ!!まさかダイナマイトで発掘してるなんてそんな……」
「ここに黄金宮が眠ってなくて本当によかった」





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