第9章 【魔人の笛】第五章――魔女の凄む家――
市街地では何やら住人たちが騒いでいるようだった。
騒ぎのある東の住宅街まで行くと、家の外壁に『魔女の印』が残されていた。
ユラの事を悪く言った人の家に、いつのまにか残されていると言う。
「レイトンさん、あれ」
は外壁の下に落ちているアメの包み紙を発見し、それをレイトンに伝える。
それをみたレイトンは謎が解明したようで、帽子の鍔を深くかぶりなおした。
レミとルークに向き直り、状況を整理するために問いかけた。
「私たちは何のためにデムスさんを追いかけていたのかな」
「厄災の魔女の謎を解くためです」
ルークの言葉にレイトンは頷く。
ユラは自分が呪われていると思い込み、心を閉ざしていた。
側にいるデムスなら何か知っていると思い、追いかけていたわけだが、途中で見失ってしまった。
その代わりに市場で目撃されたのはハイヤードヒルの少年。
少年は日用品や食材を大量に購入した他、タフィーのアメも購入している。
「……あ!」
真実にたどり着いたレミが声をあげる。
つまり、『魔女の印』を残したのは少年であると言う事。
ここで一つの疑問がレミとルークの頭に過る。
「デムスさんは、どこに行ってしまったんでしょうか……」
「それはアランバード邸に戻ればわかる事だよ」
もすでに真実にたどりついているようだった。
再び、アランバード邸に戻ってきたレイトンたち。
湖畔のほうに人影が見えると言うレミの証言から、きっとユラがそこにいると踏んだ彼らは真っ先にそこへ向かった。
そこにはユラとデムスの姿が。
「また、あなたたちですか」
レイトンたちの気配に気がついたユラは、鋭く睨みつける。
「これ以上私に近づけば、呪われてどんな災いに巻き込まれるか」
「キミは、呪われてなんかいない」
ユラの言葉を即座に否定するレイトン。
優しく微笑み、自分が解いたナゾをユラに説明する。
「ユラ。キミは決して厄災の魔女なんかではない。厄災の魔女の秘密はユラ、キミを守ろうとする純粋な気持ちが生んだ一風変わった仕掛けだったんだ」
「厄災の魔女の……秘密?」
どうやらユラ自身、このナゾの真相には気が付いていないようだった。
「キミにかかったという呪い。厄災の魔女の正体は……それはキミだね」
そう言ってレイトンはデムスの肩に手を置いた。