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追憶【レイトン教授】

第5章 【魔人の笛】第二章――世界の終わりを予言する少年――







「奥の家は水路側を魔人に破壊されてしまったんです。今ではかなり修理できていますけど」

東の住宅街へ着き、ルークは破壊された家に指をさして説明をする。
確かにルークの指さす家は、木材の格子で危なくないようにおおわれていた。
まだ一階のリビングと二階の部屋は修理されていないようだが、被害が大きかったことは伺えた。

レイトンは口元に手を添えて、破壊された家の共通点を探すが特に見つからなかった。
もまた観察をしてみるも、これといった情報は得ることは叶わなかった。

「今は結論を出せるほどの情報は集まらないようだ。ルーク、魔人の痕跡はこれだけかい?」
「はい、はっきりと残っているのはこれくらいです」
「じゃあ、エリーノースに向かいますか。えーっと、確か十字路を北だっけ、ルーク」
「はい、そうです」
「警察が見張っていないことを祈りましょう」

その時、後ろからルークを呼ぶ声がした。
振り向くとそこには眼鏡をかけた老人がルークを見てニコニコと笑っている。

「こんにちは、トミッツさん」
「今日はクラークさんと一緒じゃないのかね?」
「父さんは家に……」
「そうかい。それにしてもブレンダさんも水臭いねえ」

トミッツは少し寂しそうな声で語りだした。
ブレンダとはルークの母親で、一か月前から旅行に出かけている。どうやらいつもはトミッツさんに任せて旅行をしていたらしいが、今回は何も言わなかったらしい。
家族旅行が好きだったブレンダが何も言わずに一人で出かける理由にはもしかしたら夫婦喧嘩があるのかもしれないとトミッツは言うが、ルークは暗い顔をして俯いてしまった。

「いやいや、冗談だよ。悪かったね、ルークちゃん。あのクラークさんとブレンダさんに限ってそんな事するはずないな。きっとすぐ帰って来てくれるさ」
「でも、もうかなり経つのに……」
「大人には休養が必要な時もあるのさ。旅行から帰ってきたらたっぷり甘やかしてもらうといいよ」

じゃあねと手を振ってトミッツさんはゆっくりとした足取りレイトンたちの横を通り過ぎる。
シルクハットの鍔を少し上げて挨拶をすればトミッツは小さく会釈を返した。


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