第5章 ユニークなトランプ達は踊る
3人だけでなく、広場にいたほとんどの人が扉の方に注目していた。
さきほどリドルとバチバチやり合ったフィリップが、扉から入って来たのだった。
そしてどうやら、女の子をエスコートしている。
「「「!!!」」」
その少女の顔を見たハーツラビュルの3人は、思わずその場で叫びそうになった。
フィリップに手を引かれた彼女が…さきほど自分達を、これでもか!と魅了した少女だったのだ。
王族として身だしなみを整えた彼女は、またさらに息を飲む美しさだった。
歩く度に、ワインレッドのドレスの裾は揺れて。
花のような彼女から、甘い香りさえ漂ってくる気がした。
結い上げられた髪は彼女を大人びて見せ、
絵本の中から飛び出して来たような、まさに絵に描いたようなお姫様だった。
このタイミングでの登場と、尋常ではないオーラに
さすがに3人もオーロラの正体に気が付いた。
「彼女が…ディアソムニア国の第1王女…
オーロラ姫だったんだね」
リドルがそう呟いた時、ちょうど彼女が自分達の前を通り過ぎた。
『!…』
オーロラもまた、さきほど世話になった彼等に気付き。
その大きな瞳を、片方だけ閉じてみせた。
「〜っ、///」
「い、いまの!僕達にした合図ですよねっ///」
「美人のウィンクは、凄い破壊力だな///」
やがてオーロラは、フィリップにエスコートされ
自分の座るべき椅子に腰掛けた。
それを確認したステファン王は、金の装飾が施されたグラスを掲げて言った。
「本日は、我が娘オーロラ 10歳の生誕祭にお集まり頂きありがとうございます。
どうか皆様、お時間が許す限り パーティーをお楽しみ下さい」
そうして式典の幕が上がると、あっという間にオーロラは
祝いに駆けつけた人々に囲まれる。そして彼等は次々に祝辞を述べる。
今は、3人の妖精がオーロラを取り囲んでいる。
彼女が0歳の時に、あの素敵な贈り物をくれた、彼女達だ。
フローラ、フォーナ、メリーウェザーの3人は、美しく成長した彼女を見て感無量の様子。