第4章 運命に引き寄せられた出会い
しかし彼女とて、全く動かなかったわけではない。
あの日の夜から、何度も父と母に訴えていたのだ。
“ あのツノの人達のせいではない ” と。
“ 彼は、私の事を助けてくれた ”
そう説明しても、2人はオーロラを心配するだけだった。
もしや、マレウスの悪い呪術にかかり。無理矢理言わされているのではないか?と。
リリアが、族を倒す為に戦ってくれた。と言い聞かせてみても
ただの仲間割れ。と片付けられてしまった。
同じ衣に身を包んだ彼等を、大人達は見分けられなかったのだろう。
幼いオーロラだったからこそ、自分に向ける悪意の有無で
敵、味方。を判断できたのかもしれない。
フィリップからの手紙を丁寧に折り畳んで、再び封筒の中へとしまう。
『……はぁ。
ヒューバート王の、お体が心配…』
いつも明るいオーロラだったが、暗いニュース続きで。さすがに溜息くらいは出てくる。
突然の襲撃を受けガタガタになった城は、急ピッチで補修工事が進められていた。
それもこれも、すぐそこに控えた
オーロラの誕生日会の為だった。
他国に、自国が痛んでいないと知らしめる為にも
こういう行事は怠るわけにはいかない。というのが王族の暗黙のルールとして存在しているのだ。
しかし彼女は、そんな見栄はくだらない。そう思っていた。
『…何が生誕祭よ。
ほんと、馬鹿みたいだわ』
オーロラは、自室のベッドで大の字になって寝転んだ。
そして呟かれた独り言は、静まり返った部屋に吸い込まれていった。