第4章 運命に引き寄せられた出会い
その頃、ディアソムニア城に1通の文が届いた。
それはオーロラ宛て。オクタヴィネルのフィリップからだった。
通常なら、彼女宛ての手紙は全て中身が検められる。
しかしフィリップ王子から送られた物という事で、未開封のまま彼女の手元にやってきた。
オーロラは早速1人になれる場所で、封を切る。
『………』
彼女は懸命に、文字に目を走らせる。
手紙の内容は、要約するとこうだ。
ディアソムニア城が襲われた事を最近知ったフィリップ王子。
本当はすぐにでも、オーロラの無事を確かめに馬を走らせたいが
父でありオクタヴィネルの国王でもある、ヒューバート王が床に伏せってしまったらしい。
したがって、次期国王であるフィリップは身動きが取りにくくなってしまった。
しかし、傀儡を今まで通り使えなくなったアズール達は、これまでのように派手な動きを見せる事は少なくなったという。
フィリップは、先のディアソムニア城襲撃がアズール達の仕業なのではないかと調べを進めているらしい。
しかし、流石は明敏なアズール。フィリップはなかなかその尻尾を掴めない。
そして、最後はこう締めくくられていた。
“ そうすぐそこに迫った、お前の10歳の生誕祭には必ず折り合いをつけて出席する ”
『…フィリップ』
その1文を読むと、自然と口が許嫁の名前を呼んだ。
彼はこうして、自国で1人戦っているというのに。
オーロラは自分は何をしているのだろうと、自負の念に駆られた。