第4章 運命に引き寄せられた出会い
根城へと帰って来たマレウスとリリア。
傷付いたリリアを見て、城の者達が急いで手当てをする。
勿論マレウスもそれに立ち会った。
息を荒くするリリア。
相変わらず血を流し続けている。
マレウスとて、彼が簡単に死なない事などは分かっているのだが。
それでも後悔せざるを得なかった。
どうして自分はあの時、馬鹿みたいにオーロラを見つめ続けてしまったのだろうか。と。
しかし、誰も彼を責める事は出来ない。
マレウスと彼女はそれほどに強い運命の糸で結ばれているのだから…。
「リリア…すまない…。僕のせいだな。
常に僕に献身してくれているお前に、こんな辛い思いをさせてしまったのは…」
マレウスは願った。
どうか、リリアがまた元気になって、自分に笑いかけてくれますようにと。
もしも、その願いが叶うのならば…
自分や、オーロラがどうなったっていいとさえ思った。
彼女と2度と会えなくても。それはもう仕方がないと。
しかし、そんな彼の思いも虚しく
リリアは昏睡状態に陥ってしまうのだった。
マレウスの心は、どんどんと蝕まれていった。
当初は、リリアが怪我をしたのは自分が油断したから。
自分のせいだと、彼は己を責めていた。しかし
いつしかその憎しみは彼の心から溢れ出し、
ステファン王を始めとするディアソムニア王族に向けられた。
マレウスはあの時、城に危機が迫っている。オーロラの身に危険が迫っているのではないか。
そう思い、助成の念で動いていたのだ。
そんな彼等を、王は後ろから斬りつけた。
許せない。許さないと思った。
マレウスは、王族達がアズールの策略にはまっている事など皆目知らないし、
そしてマレウスこそ、理不尽に巻き込まれた存在に過ぎないのだ。
やっとマレウスとオーロラが行き逢ったというのに
残酷な運命は、やはり彼等を恋路に導く事はしなかった。
出会い方さえ違っていれば、きっと違う道があったであろう。
しかし今のマレウスは、彼女に対して憎しみすら抱いてしまっているのだった。