第25章 全てを 超えて
永遠なる眠りを乗り越え、愛する者と結ばれたローズは、幸福にその胸を震わせた。
マレウスもまた、満ち足りた心地で彼女を抱き締めていた。
『でも、良かった…。マレウスは、ちゃんと私を想っていてくれたのね。本当に安心した…』
「おかしな事を言うのだな。お前はたしかに、僕からの口付けで目覚めたではないか。
その時点で、僕の気持ちは伝わったものだと思っていたが?」
『そうなんだけど、もしかしたら…まぐれ みたいなのもあるのかなって』
「まぐれ…!まぐれか。
ふふ、はははっ。ローズは本当に面白いな。
まぐれなど、あるわけがないだろう。何故なら、僕とお前が恋に落ちるのは、もはや 運命なのだから」
「あっはは!恋に落ちるのが運命 だってさぁ!超ウケるー」
「ふふ、フロイド?そんなに大笑いしては悪いですよ。少しは我慢して差し上げないと」
「部屋から出ないと駄々をこねていた人の台詞だと思うと、込み上げてくるものがありますけどね!」
突如として会話に参入してきたのは、フロイドとジェイド、そしてアズールの3人だ。
マレウスは、反射的に扉を確認した。しかし開いた形跡はない。一体どこから入って来たのか?と言いたげな視線に気付いたジェイドは、テラスのある窓を指差して言った。
“ ショートカットです ” と。にこやかな笑顔も添えて。
ローズは、その姿を見とめるなり3人の名を呼んだ。マレウスがそっと床に彼女を下ろしてやると、すぐさま彼らの元へ駆け寄る。