第25章 全てを 超えて
「ふ…、そうか。どうやら僕は…人への認識を改めなくてはいけないようだな」
「ふん。まぁ、間違いは誰しもにあるからね。その代わり、今後はしっかり改めておくれ」
「それで?俺達の方は、そちらさんへの認識…このままでいいのか?」
「いい覚悟決めろよ、男ならな!」
ローズの幸せを心から願う、3人の男達。彼らは精一杯のエールを送る。
その気持ちをしっかりと受け取ってから、またローズの方へ向き直った。
その様子を見たリドル達は、そっと部屋を立ち去る。マレウスの表情を一目見ただけで、分かったのだ。
今から彼が、大切な話をローズに聞かせるのだと。
そして彼が、どのような “ 選択 ” をしたのかを。
「…こんなにも簡単な答えを出すのに、随分と時間がかかってしまった」
『それだけ多くの時間をかけるだけの価値がある問題 という事でしょう?
貴方の出した答えを、聞かせてくれる?』
マレウスは、ローズの前に 傅く姿勢を取った。恭しく上げられた顔は、凛と美しい表情で…。彼女は息を飲んで彼を見つめ、耳を澄ました。
「僕は、君を 愛している」
それは、ローズが心から欲していた言葉 そのものであった。マレウスからこの言葉を贈られるのを、何年も待ち続けていたような気がする。