第24章 誠意の欠片も感じられない謝罪
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「シルバー。起きているか、シルバー」
「俺がいつでも寝ているみたいな言い方をするな、セベク」
「いや、お前の自覚がないだけで、そこそこいつでも寝てるからな!」
「そうか?」
「そうだ!
そんな事より…。若様がお部屋から出て来られなくなってから、もう何日になるだろうか」
「もう3日になる」
「そうか…。っ、一体 若様の御身に何が起こっているというのだ!ああっ 御労しや…叶うならば この僕が、代われるものなら代わって差し上げたい!」
シルバーとセベクは、今日もいつもと変わらぬ日々を送っていた。もはや2人のルーティンとも言える、門番としての役割を勤め上げている。
警棒すら持たず、ただ城門の前に立っているだけ。が、今までのこのスタイルで不都合が出た事などなかった。
このマレウスの居城を攻めてくる奇特な輩など、一度たりとも現れた事がないからだ。
空では、バリバリと音を立てて稲妻が暴れている。どんよりと垂れこめた暗雲から、時折 緑を帯びた光が走った。
シルバーは、記憶を手繰る。
彼がこの城で近衛を務めるようになってから、ここまで天気が荒れた事は一度も無かったと記憶していた。
が、それは違ったと思い直した。
一度だけ、あったのだ。マレウスが部屋へと篭り、雷がここまで暴れた時期が。
「親父殿が…怪我をされた時か」
「ん?なんだシルバー!何か言ったか!?」
「…いや」
「なんだ 気になるぞ!大体だな、お前は普段から声が小さくて聞き取りづらい節がある!」
「セベクの声は、逆に大き過ぎる。俺は、いつか自分の鼓膜がお前の声に耐えかね 裂けるんじゃないかと不安になってるんだが」