第24章 誠意の欠片も感じられない謝罪
オクタヴィネルの3人に、想いを託したリドル達。彼らは、ローズの側に佇んでいる。
目を離してしまった自分を責め、何か間違いが起こって目が覚めはしないか という期待を持つ。3人の胸中は概ね同じであった。
リドルは、窓口からマレウスの根城に目をやった。
ここからでもギリギリ認められる、茨の谷に聳えた居城。昼間ならもう少しハッキリと姿を捉えられるが、今は少しばかりの灯りが確認出来る程度だ。
しかし、時折 城の近くに落ちる雷によって、その黒くて物々しい姿が露わになった。
雷の音に弾かれるように、デュースも窓の外へ目を向ける。
「最近、雷が鳴り止みませんね。茨の谷は」
「…ディアソムニアでは、こう言われているそうだよ。
茨の谷の天候は、マレウス ドラコニアの心模様によって左右される。とね」
「そうなんですか。じゃあ、マレウスは今…怒っているんでしょうか。それとも まさか、悲しんでいるんでしょうか」
「さぁね。もしかすると、奴は雷が好きなのかもしれないよ?
だから あの荒れ狂った天候は、今まさに彼の喜びを表しているのかもしれないね」
リドルは、手を握り込んだ。手のひらに、爪の跡が残るほどに強く握り込んだ。
そんな彼の姿を横目に、トレイも窓へ一歩近づく。そして、今また落雷となった閃光を視界に捉える。
「ま、奴が今どんな気分でいるのかは…もう少しで分かるだろ。
もう、少しで」