第24章 誠意の欠片も感じられない謝罪
「それが本当なら、絶望的ですね…。
いくらローズさんが彼を想っても、マレウスの方は 彼女を愛したりはしないでしょう」
「なんで?」
「な、なんでってフロイド。ローズさんを殺したいほど憎いから、呪いをかけたんでしょう」
「ふふ。そうなったのは、僕達のせいですけどね」
「ジェイド、それは笑って言う事なのかい?」
「いや失礼。
ですが…ご本人の本心など、ご本人に聞いてみなければ 分からないと思いますが」
「そういうこと〜。って事でぇ、オレ達マレウスを今からここに連れてくっから」
話はまとまった!とばかりに、フロイドとジェイドは部屋を出ようとした。
そんな2人を、やれやれと追うアズール。
呆気に取られていた他の3人も、ようやく声を発した。
「ちょ、え!?本気ですか!?」
「なぁにサバちゃん、なんか文句あんの?」
「〜〜っっ、
いえ!!どうぞ、よろしくお願いします!!」
デュースは、様々な感情を飲み込んでフロイドに頭を下げた。
彼は託したのだ。彼らに。マレウスに。
「アズール。今だけはキミを信用しよう。
ボク達は、ここでローズを命に代えても守る。キミは、必ずあの男をここへ連れてきておくれ」
「あぁ、気分が良いですね。貴方がこの私に頼みごとなど!
と…まぁ、冗談はさて置いて。
僕も彼女には大きな借りがありますので、目を覚まして頂く為に尽力しますよ」
アズールはリドルに対し、後ろ向きで手を挙げて挨拶を済ませる。それから、部屋を後にするのだった。
「俺はいまいち、あのマレウスという男を信用出来ない」
「それは当たり前だと思いますよ。理由はどうあれ、ローズさんを呪ったのは彼なのですから」
「あぁ…だが、ローズが目を覚ます可能性が0.1%でもあるのなら…やれる事は、全部やっておきたい。
足掻いて、踠いて、もしそれでも駄目で…。城もローズも俺達も全部壊れるっていうんなら、その時は その運命を大人しく受け入れるよ」
「……トレイさん。大丈夫ですよ。
“ 運命 ” はですね…本気で戦う人に対しては、意外にも微笑んでくれたりするものですよ」
そう優しく微笑むジェイドを見てトレイは、この言葉は どことなくジェイドらしくないな。と思うのであった。