第23章 呪われし姫の帰城
呆気に取られるハーツラビュルの3人。
どうしてフロイドが真っ先に部屋に入るのか、と不満を口にするアズールとジェイド。
そんな5人をまるで見えない聞こえない、という様子でフロイドは勝手にローズの部屋へと消えるのだった。
静まり返った部屋では、扉が閉まる音ですら やけに大きく響く。
ここに彼が入るのは、実に6年ぶりだった。フロイドは、その時自分がクローゼットの中にいた事を思い出す。
ここで、リリアがローズに魔法を施すのを見ていたのだ。彼にしては珍しく、時の流れを早いと感じてノスタルジックな心地になった。
こんな気分になってしまうのは、きっと。目の前で眠る彼女のせい。
「ねぇ、起きてよお姫様。オレ、隣にお姫様いなかったら退屈で死んじゃう」
フロイドは、ベットの脇に腰を下ろす。
ギジリと、スプリングが軋む音がした。
「起きて遊んで?そんでずっと一緒にいよ。
オレ 海の中大好きだけど、お姫様の為ならずっと陸にいたっていいよ」
例え何かを犠牲にしても、誰かの隣に存在していたい。そんな感情を、まさか自分が抱く事になろうとは。彼は到底 予想していなかった。
「多分オレ…お姫様の事、めちゃくちゃ好き」
フロイドは、そっとローズの唇に 自身の唇を重ねた。
しかし。
ローズは目を開かない。