第22章 真実の愛はディアボリック
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『それでね、久しぶりに3人が揃って森の家にやって来るの!4人全員が集まるなんて、凄く久しぶり。
早くリドルとトレイも到着しないかしら。そしたらすぐにお茶会したいな。本当はマレウスもお誘いしたいけれど、それは無理なんでしょう?』
「……」
『マレウス…?大丈夫?』
「あ、あぁ。すまない…少し、他ごとを考えてしまっていた」
『それは、全然良いんだけれど…』
ローズは、マレウスの様子がいつもと違う事にすぐ気が付いていた。いつもに増して無口なので、仕方なく彼女ばかりが話していたし、顔色も普段よりも優れないような気がする。
そしてなにより、表情が暗いのだ。何かを思い詰めているような…大きな決心を固めたような、そんな顔をしていた。
ローズは感じ取っていた。彼の話を聞いてしまえば、今までの全てが覆ってしまうような、そんな波乱の予感。
今まで、誰の目にも触れないように、マレウスとローズが大切に隠してきた秘密の箱。その中に何が入っているのかを、彼女はまだ知らない。
しかし、きっと これ以上目を瞑ってはいられないのだろう。マレウスの顔を見れば分かる。
彼は今、まさにその箱を開けようとしているのだ。
それならば、彼女に出来る事は限られている。
中身が、一体どんな物だったとしても、全身全霊で受け止める。
たとえ、
時計を持ったウサギが飛び出しても。
凶悪なライオンが襲い掛かってきても。
その身を海の泡に変えてしまう薬が出て来ても。
狡猾で邪心の強い魔法使いが現れても。
強い呪いのかけられた毒林檎でも。
憎悪に濡れた、寂しがりな黒いドラゴンが 眠っていようとも。
マレウスと一緒ならば、乗り越えられる自信があった。