第22章 真実の愛はディアボリック
リリアだけでなく、シルバーとて知っていた。マレウスが抱く秘めたる想いを。
シルバーは、ディアソムニア王族を、ローズをかつては恨んでいた。しかし今ではその忌み嫌う気持ちも薄れていた。それは、マレウスの影響。
足繁くローズの元へ通い、影から支え、何かあれば駆けつけ助けてやる。そんな主人の姿をずっと見ているうちに、彼の心も変化した。
尊敬し仕えているマレウスが、そこまで想う相手。どうか、出来る事ならばローズと結ばれてくれれば良い。そう思うようになっていたのだ。
「…仮に、僕がローズを愛していたからといって、それがどうしたと言うんだ。彼女の運命の相手?この僕がか?馬鹿を言うな。それは ありえない。
一体誰が…自分を呪った相手を愛するというのだ」
「そ、そんなのは…分からんじゃろ?」
「いや。ローズは僕が自分を呪った相手だと知らないだけで、もしも真実を知ったならば…
きっと、僕を 突き放すに違いない」
「なんと!ローズはマレウスが自分を呪ったドラゴンだと気付いておらんのか!そうか…これはまぁ、なんと数奇な運命じゃな」
「マレウス様は、皇女に真実を話すべきだと思います」
「「!!」」
2人は、シルバーの方へ向き直り 目を見はった。
普段ならば、マレウスとリリアが話をしている最中に シルバーが割って入ってくる事はない。自分が意見をする必要はないと、いつも一歩後ろに身を引いて、話に耳を傾けているだけだ。
しかし、そんな彼が今回だけは キッパリと主張したのだった。