第22章 真実の愛はディアボリック
「なにも こそこそと黙って出て行く必要はあるまい?」
「…こそこそと、黙って か。それは僕ではなくリリアの方じゃないのか」
「うん?」
「とぼける気か?
僕がローズにかけた呪いを弱めたこと。何故 黙っていた」
「お、お主 もしや根に持っておったのか?わしが、すぐに話さなかった事を。いまさらそんな話を持ち出しよってからに」
キロリと睨まれたリリア。どうやらマレウスが、腹の中で怒りを育てていたと知って多少慌てる。
ささっと、関係のないシルバーの背中の後ろに隠れる。
2人の板挟みとなってしまったシルバーは、何も出来ず何も言えず、たた2人の間で立ち尽くした。
「…はぁ。勘違いするな。僕は、礼を言えども責めたりなどしない」
「おお、そうなのか?」
「お前の6年前の英断に、感謝しているぞ。
だが、その事実をもう少し早く話して欲しかったと言っている。もう少し早く、ローズに運命の相手が必要だと 分かっていれば…」
マレウスは少し前、森の家でローズとリドルが良い雰囲気になっているところを邪魔してしまった事がある。
もしもその時、彼女には真に愛し合える人間が必要なのだと分かっていれば…絶対に邪魔などしなかった。
逆に、ローズと誰かをくっつけようと協力すらしたかもしれない。
目を伏せるマレウスに、リリアはやれやれとかぶりを振る。
「お姫様に、運命の相手が必要だと そこまで分かっていながら、まだその役目を他の誰かに…などと考えておるのか?」
「……どういう意味だ。リリア」
「自分こそが、ローズの運命の相手になりたい。そうは思わんのか?
愛しておるんじゃろう。とっくの昔から」