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眠り姫の物語【ツイステ】

第21章 育まれる愛とフルムーン




ローズは、マレウスの半歩 後ろを歩いていた。本当なら、駆け寄ってしまいたい。寄り添うようにして、この素敵な夜の森を歩きたい。
そう、思うのだが…


「どうした?今宵はいつものように、僕の隣を歩いてはくれないのか?」

『………』


彼女は、思い戸惑っていた。こんなにも素敵な夜だ。
たとえ、この恋心を隠して近付いたとしても、酔いを悟られてしまいそう。

月を背負い、こちらを見つめるマレウスの瞳に、ローズは完全に魅了されていた。


しかし心奪われているのは、なにも彼女の方だけではない。マレウスとて、月明かりに照らされるローズに釘付けになっていた。

陶器のような滑らかで白い肌。美しい華の花弁を思わせる唇。そして、いつもにも増して色気を孕んだ瞳。
そんな彼女に見上げられて、正気でいられるはずなどなかった。


降り注ぐ月光を、森が吸い込んで。辺りが澄み切っていた。凛とした空気が、ローズとマレウスを包む。

まるで今宵は、この2人の為だけにあるようだった。


ただ、相手を見つめるだけに夢中になっている2人。
ローズが その沈黙に耐えられなくなったのと、我慢がきかなくなったマレウスが彼女の肩に手を伸ばしたのは、同時だった。

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