第21章 育まれる愛とフルムーン
ひとしきり涙を流したデュース。そんな彼を落ち着けるため、ローズは温かいロイヤルミルクティーを入れる。そして、また席に着いたデュースの前にカチャリと置いた。
柔らかい色合いの液体が、カップの中で揺れている。優しい甘い匂いが立ち昇った。
『はい。お砂糖たっぷり。ミルクもね!
こんな夜遅くに、私がこれを淹れたなんてリドルには内緒ね?』
「わ、分かった…」
『良かった。
美味しい?デュース』
「…ん、…背徳感の、味がする」
『あはは!じゃあ私も失礼して、その魅惑のお茶の味をみさせてもらおうっと』
まだ熱い目元をこすってから、デュースは目の前の愛しい人を見つめる。
可愛らしく小さくした唇から、ふぅふぅと息を吐き出して紅茶を冷ましている。そんななんてない仕草を見るだけで、デュースの心臓はドクドクと脈打つ。
彼は、ここ最近 ある問題を抱えていた。それはもう、寝ても覚めてもずっと考えてしまうくらい。
その問題とは…ローズに、自分の気持ちを打ち明けるのか否か。というもの。
『デュース…あのね、私の為に泣いてくれて ありがとう』
「そ、それは僕を、いじってるのか?」
『なんでそうなるのよ!違う。本当に嬉しかったから、お礼を言っただけ。
それにね、私 諦めてるつもりはないのよ?16歳になるまでに眠りについてしまうのが私の運命だなんて信じない。
精一杯あらがってやるんだから!それで、その運命を変えてやるの。
だって、私も大人になって…デュース達ともっとたくさん一緒にいたいもの!』
可憐に明るく笑うローズを見つめていると、心が暴れ出す。
心が独りでに、“ ここから出せ!” と自分の中で主張してくるのだ。
それに素直に従って、言ってしまいたい。打ち明けてしまいたい。そんな気持ちが大きくなる。しかし、1つ…大きな問題があった。