• テキストサイズ

眠り姫の物語【ツイステ】

第19章 悔恨と踠きのドラコニア




そして、祈る。

“ お願い…助けて ! ”

北の深海で、苦しむ人魚達を救いたい。ただその一心を、伝える。
ローズの脳内のイメージが、触れ合っている部分から どんどんユニコーンに流れ込んでいく。


しかし…


「………」


ローズが瞼を上げると、そこにユニコーンの姿はなかった。

『……っ、』

力を借りる事は、出来なかった。

自分の祈りが足りなかったのか、それとも清い乙女だとは認められなかったのか。何が原因かは分からない。
ユニコーンが、目の前から消えてしまった事だけが事実。

地面に生えている草を、両手でぎゅっと掴む。
そして、ガクっと下を向いたローズ。


と、顔を向けた下に…
光り輝く、それを見つけた。

『!!これは』

それを、丁寧に手に取ってみる。

象牙のようであり、しかしもっと神秘的で美しい。それは、ユニコーンの角であった。

ローズはそれをぎゅっと胸に抱きしめると、心の中で何度も何度も、ユニコーンにお礼を言うのだった。




「ほう。願いの物は、手に入ったと見える」

『うん。なんとか…、力を貸してくれるみたい。

マレウスも、本当にありがとう。貴方がいなければ、ここに来る事すら出来なかった』

マレウスは、ゆるりと首を振る。

そして ここへ来た時と同じく、またローズの瞳をその手で覆い隠すのだった。

/ 526ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp