第3章 暗躍する確固たる悪意
ステファン王は、考えに考えた末…
結局、周りの意見を跳ね除ける。
「たとえマレウスが、民から忌み嫌われていて。
オーロラを狙っているという話があったとしても。
…こちらから攻撃を仕掛ける事はしない。
いくらなんでも、アズール氏の話だけを鵜呑みにして軍を動かす事など、あってはならない」
国王が、ハッキリとそれを表明する事で長い会議は幕を閉じた。
この決断を、英断だと褒め称える声もあれば
腰抜けの国王だ。と彼を悪く言う声もあった。
しかし妃であるリア王妃は、貴方はやはり素晴らしい先導者だ。と夫を讃えるのであった。
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これを良しとしなかったのは、オクタヴィネルにいるアズール達だった。
「彼等は、自分達からマレウスに仕掛ける事はしないようですね」
ジェイドは主人の隣に立ち、手に入れたばかりの情報をに伝えた。
「…ふふ。さすがに、ディアソムニア国王もそこまでの愚か者ではなかったという事ですね。
ですが…。ただ、それだけの事」
彼の中では、次なる作戦がとっくに練り上がっていた。
「あはっ!じゃあさぁ、例の “アレ” 決行って事だよねぇ?ねえ!」
「また貴方は…少し落ち着きなさい」
テンションを上げてアズールに詰め寄る弟を、兄であるジェイドがたしなめる。
「ジェイド。フロイド」
「はい」「はーい」
アズールは2人の名前を呼ぶと、ゆっくりと腰を上げた。
「明日の夜、決行です。
さぁ、次の段階に進めますよ」