第14章 我儘になりたいクイーン
具体的に、どんな嘘をついているかまでは分からない。
しかしエースには怪しい点が多過ぎる。フロイドはそう考えていた。
「気ぃつけて?俺以外の男に、簡単に騙されたりしねぇように」
『あ、フロイド待っ!!』
彼は、自分が言いたい事だけを言い さっさとその場から姿を消してしまった。
ざわざわと、ローズの胸を不安が煽っていく。
「あ、そこにいたか!ローズ。あっちでリドル先輩が呼んで」
『デュース!』
「!びっくりした…ど、どうした?」
リドルに、彼女を呼んで来いと頼まれたデュース。そんな彼に、ローズは詰め寄る。
『…エース…。エースに、私がディアソムニアの姫だって事…話した?』
あぁ話したぞ!
って…答えて欲しい。彼女はそう願いつつ、デュースに質問をしていた。
しかし…
「??いや、話してないな。どれだけ仲が良くて信頼してる人物でもあっても、ローズの事に関しては 誰にも話すなっていうのが リドル先輩の命令なんだ」
目の前が、真っ暗になる。
フロイドが言っていた通り…エースは嘘をついている?一体何故。
それに、デュース達から私の事を聞いていないと言うならば 彼は一体誰から私の事を聞いたのだろうか…。
「?ローズ…?平気か?エースが何か馬鹿やったのか?嫌な事言われたとか。それなら俺がシメて」
『ち、違うの!大丈夫…。だってエースは、私達を…助けてくれたんだから』
そう。エースがどういう立ち位置にいるかこそ分からないが、彼は自分を助けてくれた。
リドルの元に、連れて行ってくれた。
だから今回の事は…。今回だけ、目を瞑る。
「そうなのか…。あ、それより、あっちでリドル先輩が待ってるんだ。ここを真っ直ぐ行くと 薔薇園があるから…
何か話があるって言ってたぞ」
『リドルが?…うん。分かった。行ってくる』
ローズはデュースに教えられた方向に歩いて行く。