第14章 我儘になりたいクイーン
そういった成り行きで、国王はここに現れた。
「…その、矛を収めよ」
王の声は、静まり返ったこの部屋を 包み込むような重量感で響いた。
顔を見合わせる衛兵達。リドルやデュース達も、その身に纏っていた力を一度解いた。
しかし。ただ一人。この展開を良しとしない者がいた。
「な…何をやっているの!!早くアイツ等の首を跳ねるのです!これは命令ですよ!」
一人、まだ怒りの収め方が分からない女王。
だが、彼女に耳を貸す者はもう誰も居なかった。配下達は、自分が誰について行くのか もう心に決めているようだった。
それに、先程のリドルの心からの言葉や。彼を本気で思うローズに皆、心を打たれていた。
女王以外の、ここにいる人間は 切に願っている。
リドルに 自由を。彼がこれからは自由に羽ばたく事が出来る空を。
「もうやめなさい。もういい加減に気が付いただろう。
リドルは、私達の人形では無い。この国の為だけに存在する駒でもない。
私達は、認めるところから始めなくてはいけない。自分達のやり方が、間違っていたと。
リドル」
王が名を呼ぶと、リドルはゆっくりとその身を王の御前に運ぶ。
「これからは、お前の好きにやってみるといい。この国の事、姫の事、何かあれば私も力になろう。
しっかりやりなさい。…立派な青年になったな」
優しそうに目尻を下げる父親を前に、リドルは熱い想いが込み上げる。
ついに彼が、空に解き放たれた瞬間であった。