第14章 我儘になりたいクイーン
——ローズが謁見室に突入する少し前。
「この国では、女王の命令は絶対だ」
『…でも、そんなのリドルが可哀想よ!』
トレイの話を聞くローズは、一刻も早くリドルに手を差し伸べる為 部屋へと入りたくて仕方がなかった。
しかし、そんな彼女をトレイが説き伏せる。
「まぁもう少し聞いてくれ。
女王の命令は絶対だとは言ったが、それに匹敵する権力を持った人物が 1人だけいる」
『!それって…もしかして、国王?』
ローズの予想は的中する。
トレイは首を縦に動かした。
「その通り。それと、国王は当然 リドルの父親でもある。
女王を止められるとしたら…彼しかいない」
『…女王と、国王が 同等?…信じられない』
ローズが驚くのも無理はない。
おそらく 国王と同等の権力を持つ女王など、世界中を探してもここにしかいない。
本来なら、王は国一番の権力者であり 絶対的な存在のはずだ。
「それが、この国の常識なんだよ。
とにかく、俺がなんとしてでも ここに国王を連れてくる。
それまでどうか無理だけはしないでくれよ?」
トレイは、自分の主君の為ではなく。大切な友人の為に 自分が出来る戦い方を選んだのだ。
「…フロイド。ローズの事、頼むな」
ぽん。とフロイドの肩の上に手を置いて、彼女の事をお願いすると
トレイはどこぞにいる国王の元に走って向かったのだった。