第2章 オッドアイを保有する兄弟
「おいこら」
フロイド達が隠れるこの場所に。いつのまにかフィリップが立っていた。
きっと彼から見れば、フロイドがオーロラに迫っているように見えたに違いない。
「…あーあ。見つかっちゃったぁ」
「見つかっちゃった?じゃねえだろ。
フロイドお前な…どこの世界に、主人の許嫁に手を出す従者がいんだよ。殴るぞ」
「アハッ、王子様、やきもち〜?」
「ばっ、べつにそんなんじゃっ」
フロイドからは、先ほどまでの邪悪なオーラはすっかり消えていた。
フィリップと会話する彼を、オーロラは見つめていた。
「おい、フロイド。罰として次の鬼はお前だ。
ちゃんと30数えてから探せよ」
主君からの命令に、フロイドはしぶしぶながら従った。
律儀にも、両目に腕を押し当てて。木の幹に張り付いて数字を読み上げる。
オーロラが、どこに隠れようかと1歩を踏み出した時。フィリップに腕を掴まれた。
「ちょっとこっち来い」
『え、うん』
有無を言わせぬその剣幕に、彼女は彼に素直について行った。
やがて2人は、城内の小部屋へと身を隠す。
外で隠れんぼをしていたのに、室内に隠れてしまうのは若干反則なのでは?とオーロラは考えていたが。
フィリップはそんな呑気な彼女に詰め寄った。
「お前、フロイドに何かされなかったか?」
『?うん…特には』
それを聞き、フィリップはほっと胸を撫で下ろす。
「そうか。ならいい。いいか…
フロイドを…いや、あの双子は信用するな。
絶対に気を許したら駄目だ」
そんな尋常ではないフィリップの雰囲気を感じて、オーロラは緊張した。
しかし、聞かずにはいられなかった。
『…フロイド達は、一体どういう存在なの?
信用しちゃいけないって…フィリップ、あの人達に何かされたの?』
「…お前には言うべきじゃないかと迷ったが…。
もしかしたら、この国にも関係してくるかもしれないから話す。
よく聞いてくれ。オーロラ」