第2章 オッドアイを保有する兄弟
「でも、そのドレス良いよねぇ。まるでオクタヴィネルの海みたいでキラキラ〜。お姫様にすごく似合ってんね。
ねぇ?王子様♪」
フロイドの言葉を受けて、オーロラは驚きに打たれた。
自分がこのドレスを選んだ理由を、彼がピタリと当てたものだから。
「ま…まぁな、悪くはないとは思うぜ」
フィリップは、照れ隠しをするように。自分の毛先を指先で弄りながらそう答えた。
まぁこれが、この年頃の少年のごく自然な反応だろう。
フロイドの方が大人びているのだ。
オーロラはまだ彼の年齢は知らないのだが、現在のフロイドの年齢は10歳。彼女の1つ上なだけだというのに、発言や見た目は随分と大人びて見える。
しかしその反面、
「ねぇ、こうやってお話してるのも楽しいけどさ〜。
何かして遊ぼ?例えば鬼ごっことか…隠れんぼとか」
などと。突然、年相応の提案をしたりする。
大人びている面があったり、子供っぽい面もあったりと。彼の掴み所のない性格を見て。
オーロラは彼の事を面白いと感じるようになっていた。
『いいわね、じゃあ隠れんぼにしよう!
ほら2人とも立って立って!』
彼女はその場に寝転がる2人に手を伸ばして、強引に立ち上がらせた。
「…隠れんぼなぁ」
そう呟くのはフィリップ。
彼の齢はもう14。隠れんぼを全力で楽しめる歳ではないのかもしれない。
実際彼は、こうして草の絨毯に寝転がりながら彼女と話をしたり、オーロラが時折口ずさむ歌に耳を傾ける方が好きだった。
しかしなんだかんだ、いつも彼女の遊びに付き合ってくれるのだ。
話し方は乱暴でも、実は彼が優しい許嫁であるとオーロラはちゃんと知っていた。
1番年上のフィリップが、鬼役にスムーズに決定した。
彼は再びその場に寝っ転がると、目を瞑って大きな声で数を読み上げる。
オーロラとフロイドは、それぞれ反対方向に勢い良く駆け出した。