第10章 なんでもない日のパーティ
嬉しそうに、何も変わっていない。と言ったローズだったが。
デュースはそうは思わなかった。
変わった物が沢山ある。と 彼は感じていたのだ。
まず1番大きく変わったのは、自分の中の気持ち。
ローズに対する想いが 確実に変わった。
5年前は、彼女に対する気持ちが 友情なのか愛情なのか…はっきりとは分かっていなかったのだが。
今では この気持ちがどちらなのか、ハッキリと断言出来てしまう。
それに、ローズだって、大きく変わった。
「……き、…綺麗に…///」
『ん?どうかした…?デュース?』
彼女が瞬きをしただけで、まるで柔らかい風が起こり、自分の事を優しく包んでくれるような。そんな心地になった。
「い、いや、…その…ローズは…凄く…き、綺麗に!
……薔薇を、塗るなーと思って…」
『そうかな?ありがとう!
私も沢山の薔薇を塗ってきたから、上達して来たのかも!
もういっそ、この道を極めて薔薇職人にでもなろうかしら』
そんな事を真剣に言い出す彼女に、デュースは肩をがっくりと落として言う。
「…そんな道を極めて欲しくないし、そんな職人もいないからな」
『……分かってるもん』
彼女は片頬を膨らませてから、作業に戻った。
デュースはそんなローズを見て思う。
あぁ、この怒り方だけは…本当に5年前と変わっていないな と。
そして、自分のこの情けない性格も…残念ながら変わっていないと感じた。
こと彼女に対してだけは、どうも伝えたい事が言葉に出来ない。
トレイやリドルなら、言えただろうか…彼女に
「…5年前より、ずっともっと、…綺麗になった。って」
彼はさきほど伝えたかった事を、彼女が居なくなってから やっと言葉に出来たのだった。