第10章 なんでもない日のパーティ
「てかフロイド…お前、俺にそこまで答えておいて まだしらを切る気かよ。
もう白状しちまえって。知ってんだろローズの居場所をよ」
まだしつこく食い下がってくるフィリップに、フロイドはそろそろ本気で嫌気がさしていた。
「もうオレには何も聞かないんじゃなかったの〜?」
「…チッ」
舌打ちをするフィリップを見て、フロイドは思慮に耽る。
フィリップときたら、ローズの事になると本当に必死だ。
こんなふうに自分に しつこく食い下がったり。面倒な政に力を注いだり。
全てはローズの事を想っての事…。
「…ねぇ王子様?」
「お、白状する気になったか?」
フィリップの言葉を無視して、フロイドは言葉を続ける。
「王子様はさぁ、お姫様の事好き?
それは真実の愛だって、本気で言えちゃうくらいなわけ?」
「は?…お、お前急に何…」
真実の愛。そんな単語を急に口にしたフロイドに面食らうフィリップ。
焦りとか照れとかが募り、どう誤魔化そうかと考えたのだが…
誤魔化すのはやめた。あまりにもフロイドの顔が、真剣そのものだったから。
「……俺とローズはな、たしかに最初は 親同士が勝手に許嫁にしたってだけの仲だった。
でも今は違う。少なくとも俺は信じてる。俺とローズが結ばれるのは運命だって。
…はは、っつーか、それ以外の運命は絶対に認めねー」
照れたように笑うフィリップ。
フロイドはさらに質問を重ねる。
「…つまり〜?」
「つまり…俺はローズを愛してるよ。ずっと昔から、な」
そう断言したフィリップの顔からは、さきほどの照れは一切無くなっていた。
そんなフィリップを見て、その言葉を聞いて。フロイドは決めたのだった。
「…やっぱり王子様には、お姫様の居場所は教えねー」
「!おま…やっぱり知って…!おいフロイド!待て!おい!」
頭の後ろで手を組んで、さらに歩みを早めるフロイドの背中を フィリップは必死の形相で追いかけた。