第8章 なんでもある日のパーティ
『リドルは、パーティの準備はしないの?』
彼は今まさに、森の中へ出掛けようとしていた。
そのリドルの後ろ姿を捕まえて ローズは声をかけたのだった。
「まさか。ボクだって準備するさ。その為に出かけるのだから」
『…ふぅん?私はまた、1人だけサボって散歩でもしに行くのかと思っちゃったわ』
謂れのない言葉を受け、リドルは少しだけ むっとした表情になる。
そして、与えられた不名誉を返上すべくローズに手を伸ばす。
「ボクが準備の為に働くところを見せてあげるから、一緒においで」
結局 ローズは、そのままリドルの手を取って共に外出するのだった。
真面目な彼が言うのだから、本当にサボりではなかったのであろう。
2人で並んで歩く中、彼女はそう考えていた。
リドルは、ずっと下を見ながら歩いている。その手には カゴがあった。
彼女なりに、彼が何をしに外に出て来たのか予想を立てる。
『……あ!木苺でも摘むのかしら?
でもリドル。それならそんなに下の方には なっていないと思うわ。もう少し上の方を見たほうが…』
ローズは親切で言ったのだが、彼は首を傾げた。
「?ボクは苺を摘みに来たわけではないよ」
『そうなの?でもじゃあそのカゴは…』
ローズは、リドルが持つカゴを指差して言う。
「これでネズミを捕まえるんだ」
『…………』
今度は彼女の方が首を傾げる番だった。
どうしても、お茶会とネズミが結び付かないのだ。